エースの系譜(小説)のあらすじ・感想 [その他・漫画以外]
【あらすじ】
200万部超「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」
の著者が「どうしても書きたかった」、敗北と再生の青春野球小説。
その高校にあったのは野球部ではなく野球同好会だった。
甲子園などを目指す者など皆無な状況で顧問となった新任教師・続蓮之介。
元々は同校の卒業生で野球同好会のOBでもあるこの教師は心中密かに
『甲子園出場』を夢見ている。
そこへ現れた初代エース・絆遊之心。
そして物語は10代目エース・後谷雪太郎までの10年間の奇跡を描く。
真の処女作にして「もしドラ」の原点的物語。
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【感想】
物語の舞台となっているのは『私立迷径学園』
架空の高校だが、
「茨城県のラグビーの強豪校で、メイケイで、
昭和64年の花園で大阪の高校と二校同時優勝」
となると明らかに実在の『茗溪学園』であろう。
*同時優勝のもう一校は作中では『難波兄弟校』となっているが、
こちらは『大阪工大高』である。
当時弱小校ながらラグビー部員だった私は今でもこの時のことを鮮明に覚えていて、
冒頭の2ページで、今読んでいるこの本が
フィクションかノンフィクションかもわからなくなってしまった。
それは著者が雑誌『Number』の文体を意識して書かれているとのことで
致し方ないのかもしれないが、
虚実入り乱れたまま作中世界に入り込んでいました。
『新任教師が甲子園出場を目指して奮闘する』となると
当然、猛練習につぐ猛練習。気合と根性で奇跡を起こす。
そんな展開かと思っていたが、まるで見当外れだった。
だからと言って小難しい野球理論やスポーツサイエンス的なことでもなく、
それでいて荒唐無稽とも思わなかったのは、
ひとえに私がそれこそ『Number』などの
スポーツ雑誌を読んでいる感覚だったからかも知れない。
高校はもちろん学生スポーツというのは当然のことではあるが
毎年メンバーが変わる。
また、同じ選手でも1年で大きく変貌を遂げることがある。
そこが面白さでもあり、指導される監督たちにはとても難しいところでしょう。
この作品も次々とエースが現れ、そして去っていきます。
特定の選手が主人公の作品ではこの状況は味わえない部分です。
ひとりひとり個性的な歴代のエースたち。
この世代はどんなチームなんだろう?次の世代はどんなチームになるんだろう?
まったく『迷径学園』のファンにでもなったように読み進めていました。
10年。
言葉にすると簡単ですが、そこには様々なドラマが、喜びがあり、
また悲劇があります。
最終の16章を読み終えた時には思わず涙してしまいました。
ほんの短い高校野球(高校部活)生活ですが、
それは一生の宝物だということを改めて感じたのです。
読後、爽やかに晴れ晴れとした気持ちで本を閉じました。
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